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INTERVIEW by Machida, to Joel Ryan:
musee vol.29 Jan. 2001


ジョエル・ライアンとライヴ・ミュージック
ジョエル・ライアン インタビュー WORDS/町田良夫

「音楽」をCDで聴く機会が多い昨今、ライヴ・パフォーマンスは、やはり素晴らしい。10月3日、 新宿ピット・インでエヴァン・パーカー・エレクトロアコースティック・カルテットのライヴを観た。 ジョエル・ライアンはそこで「シグナル・プロセッシング」(マイクで拾われたE・パーカーのサックス音に電気的処理を施して演奏音と同時に会場に流す)を担当していた。
「シグナル・プロッセシング」は、ディレイのような時間をコントロールするエフェクトを中心に行 われることが多い。「時間」をコントロールして、オリジナルの変形とも言える音「空間」を作り出す。ダブ・サウンドなどは、まさにその典型だし、カラオケもエコーのスイッチ一つで独特な空間を作り出している。このフリー・ジャズ・カルッテットの場合も、E・パーカーの超微粒子的サックスとポール・リットンの突然現れては消えていく奇妙な倍音パーカッションが作り出す空間を、J・ライアンとロレンス・カサレイのシグナル・プロセッシングが別の空間へと導いていく。そして、その方法論的な迫力もさることながら、J・ライアンの演奏姿勢に心引かれるものがあった。
ちょっとアート系の「シグナル・プロッセシング担当です」なんて連中の多くは、終始クール、ポー カー・フェイス、といったイメージが私の中にはあるのだが、彼の場合は違っていた。その中には、微笑 があり、アクションこそ地味だが(フェーダだのスイッチだのマウスをいじっているだけなので)、 なにか聞き手を自由にさせてくれる雰囲気があり、これが心地よかった。
数日後、彼から話を聞く機会に恵まれ、なるほどと思う話をいくつもきくことができた。彼は、60年 代後半、J・ケージ、H・パーチ、R・シャンカール、J・コルトレーン、M・デエイヴィスといったアーチストのライヴ・パフォーマンスのすばらしさに深く影響され、ミルズ・カレッジ(60年代中後半、ポーリーン・オリヴェロス、ミニマル御三家や、ローリー・アンダーソンなどが関わる)と深く関わっていた。ここでの基本は、”作曲”ではなく、何より人前で”パフォーマンスをする”ことにあったらしい。これらの体験は、彼に”パフォーマンスを通しての音楽”というものをっしかりと根付かせたのであろう。パフォーマー自身が楽しんで演奏している音楽は、やはり観ていて面白い。場の雰囲気=”空間”を作り変え得る要素であるこの基本姿勢は、J・ライアンのもう一つの”シグナル・プロッセシング”とも言えよう。記録メディア・ミュージックの多い中、彼は、ライヴ・ミュージックの素晴らしさを気づかせてくれる表現力豊かな音楽家なのである。(取材協力:ジャズアンドナウ/通訳:坂本信)



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