
CDレビュー「MINAMO/SHINING」:
intoxicate vol.55 Apr. 2005
音楽の中に現れる
清々しいコミュニケーション
minamoは、杉本佳一(ギター)と安永哲郎(エレクトロニクス)によって99年に結成された。その後、岩下裕一郎(ギター)、笹本奈美子(キーボード)が加わり、現在のアンサンブル・スタイルを築いた。とても安定したライブパフォーマンスの質は極めて高い。「出会った頃から基本的にあまりやり方は変わっていないんですよ、コミュニケーションの仕方とかも。」今回、米国12Kよりリリースされた5thアルバム「SHINING」は、5つのライブテイクからの抜粋と1つのスタジオ録音によって構成されている。これまでのリリースもそうであるように、スタジオでの編集作業によって生み出される音というより、ライブ演奏で生み出される音に重点が置かれている。「全体のフロー感みたいなものがライブのテイクとスタジオ録音とで違いがあるんです。ライブのほうが斑(むら)もあって、それを良しとするか悪しとするか・・・。今回スタジオで録ったものも時間軸はいじっていないので、ライブとリアルタイム感は変わっていない。」これまでのところ、基本的に彼らの音楽は即興であり、その意味からしても音楽を構築するための方法/装置としての「ライブ」というのが自然なのであろう。杉本と安永がネットを介して出会った当時、お互い興味があったトータスなどの音楽家について話し合いながら親交を深めていったそうだが、実際、minamoの演奏において、具体的な事について話し合ったりすることはないそうだ。「演奏することについて、特にビジュアルのイメージを何か共有しているわけでもないし、音楽も○○っぽい音という風に話し合ったこともありません。漠然と、いい感じだねみたいな。」コミュニケーションは、具体的な共通項をきっかけに発展していったり、信頼関係が結ばれたりする。一度信頼関係が築かれると、あとは、場の雰囲気や些細なリアクション、抽象的な言動で意思疎通がうまく行く。数多くの即興音楽がそうであるようにminamoの音楽も、4人のメンバー間で取り交わされるコミュニケーションそのものと言えよう。メンバーが出す音は、お互いの音に微妙に反応しながら、その時間の中で優美な軌跡を描く。しかし、minamoの音楽を特別なものにしているものはそれだけではない。彼らの最大の特徴は、そのコミュニケーションの「質」にある。嘘やフェイント、トリックなど現代法律社会における盲点をかいくぐりながらサヴァイヴすることや影響を受けることは正反対のやり方、清々しく、リラックスした双方向のコミュニケーション。これは、あるようでなかなか見当たらない。国内外でminamoの音楽が「美しい」と讃えられている理由は、この質が他と決定的に異なるからでなのある。
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